大判例

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東京地方裁判所 昭和32年(ワ)1179号 判決

同栄信用金庫

ところで本訴請求の一部を棄却すべきものとする理由は次のとおりである。

原告同栄信用金庫が被告に対し本件約束手形金額に対する呈示の当日以降における金百円につき一日金六銭の割合による金員の支払を請求する根拠は、原告の主張によれば、右手形の原告に対する裏書人である訴外有限会社宝屋工業所が右呈示によつて償還義務中元本債務につき遅滞に付せられたというにあるのであるが、右呈示が本件約束手形の償還義務者である訴外宝屋工業所に対してなされたものでないことは明らかである。そもそも手形は呈示証券であるから、償還義務者をしてその債務につき遅滞に陥らせるためには、その者自身に対して手形の呈示がなされることが必要なのである。もつとも手形法第七十七条及び第四十八条の規定によると、約束手形についての償還義務者は、所持人に対して満期以後の利息をも支払わなければならないものとされているけれども、この利息は償還義務者の遅滞を原因とする遅延利息ではなく、手形法が特に定めた利息たる性質を有するものと解すべきであるから、償還義務者に右のような法定利息の支払義務があることから、約束手形の呈示がなくとも償還義務者が当然遅滞に付せられるものとは推論し得ないのである。

本件において原告がその所持する約束手形をその裏書人である訴外宝屋工業所に呈示したことについては、原告から何ら主張立証されるところがないので、右訴外会社は、本件訴状の送達を受けた日の翌日であることが明らかである昭和三十二年三月六日から原告に対する債務につき遅滞の責に任ずべきものというほかなく、従つて原告は被告に対し本件約束手形金額に対する昭和三十二年三月六日から完済まで金百円につき一日金六銭の割合による遅延損害金の支払を請求し得るに過ぎないものというべきである。

しかしながら、原告の請求中本件約束手形金額に対する昭和三十一年十二月三十一日から昭和三十二年三月五日まで金百円につき一日金六銭の割合による金員の支払を求める部分は、訴外宝屋工業所が原告に対し負担すべき手形法所定の年六分の割合による利息債務について被告に対し保証債務の履行を求めるものとして認容すべきである。

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